相模鉄道線緑園都市駅前周辺住宅の外部階段。
相模鉄道線緑園都市駅前周辺住宅の外部階段。
横浜市近郊のこの地区は統一的な都市計画プランによって開発され、この写真のような住宅のほか、商店やスポーツ施設などの屋外露出構造部分に多くの亜鉛めっき鋼が使用された。

JIS H 8641(溶融亜鉛めっき)が平成11年9月20日付で改正公示されました。改正された主な点について解説します。

(1)規格本文の改正点

  1.  序文がつきました。
  2. 「1.適用範囲」の中に備考としてこの規格に対応する国際規格が記載されました。
  3. 「2.引用規格」が規定され、引用規格としてJIS H 0401(溶融亜鉛めっき試験方法)が規定されました。
  4. 「4.品質 4.1 外観」のなかで、「不めっきその他使用上有害な欠陥があってはならない。」と規定されていたのが「指定された用途に対して特に使用上支障があってはならない。」と改正されました。さらに「特に使用上支障があってはならないものとしては、不めっき、接合する部分のたれ、フラックス残さなどである。」とし、「これらの合否判定基準については、事前に受渡当事者間で協議しておくことが必要である。しかし、受渡当事者間で別途の協議がある場合を除き、やけおよび白さびでめっき製品の合否を判定してはならない」と規定されました。
  5. 「4.品質 4.2 付着量及び硫酸銅試験」の中の「表2 品質」の備考に、「3.過酷な腐食環境は、海塩粒子濃度の高い海岸、融雪剤の散布される地域などをいう。」が追加されました。

(2)解説の改正点

  1. 冒頭に「この解説は、本体に規定した事柄、及びこれに関連した事柄を説明するもので、規格の一部ではない。」という断り書きがつけられました。
  2. まえがきに今回の改正の主旨である「JISの国際的整合化」について解説されています。
  3. 「4.品質」の解説の中でめっき面に現れる現象の中で「シームとブリスター」が「シーム」のみになりました。
  4. a)不めっきの解説に、「保護作用の効果が及ぶ不めっき部の大きさは、実験的にはφ 5.5mmまたは5mm幅までである。」と具体的な数値を含んで書き加えられました。
  5. 「4.2.1大気中の耐食性」の解説は大幅に書き換えられました。
    (i)使用環境別亜鉛腐食速度のデータが最新のものに入れ替えられました。旧解説では「亜鉛めっきの推定耐用年数」という表で示されており、耐用年数は(社)日本溶融亜鉛鍍金協会による10年間(昭和39年~昭和49年)の大気ばく露試験結果から計算されていました。今回の改正では「使用環境別亜鉛腐食速度」という表になり、耐用年数は(社)日本溶融亜鉛鍍金協会による5年間(1992~1997年)の大気ばく露試験結果から計算されています。それぞれのばく露場所も異なっています。
    (ii) 旧解説では重工業地帯と都市地帯が別の分類になっていましたが両地帯を都市工業地帯としてひとつにまとめられました。これは重工業地帯の腐食速度は、横浜市における昭和39年~昭和49年のばく露試験では40.1~40.6g/m2・年と、田園地帯の5.2~5.4g/m2・年や都市地帯の17.5~17.7g/m2・年に比べて大きかった。ところが我が国の工業地帯では大気汚染に対する公害規制が功を奏し昭和43年をピークに硫黄酸化物が激減し、(社)日本溶融亜鉛鍍金協会が平成4年から開始した同じ場所でのばく露試験の結果、腐食減量は9.3g/m2・年と大幅に減少しています。したがって、今回の改正では、従来のように重工業地帯と都市地帯に分類せずに両地帯を都市工業地帯としてひとつにまとめられています。
  6. 「4.2.5 特殊環境での耐食性」の解説が追加されました。本文の「表2 品質」の過酷な腐食環境について具体的に解説されています。
  7. 「6.JISと国際規格との整合性」の解説が追加され、JISと対応する国際規格との整合性が、解説付表に示されています。