亜鉛合金ダイカストの品質証明制度

亜鉛合金の有効化学成分は亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、及びマグネシウム(Mg)であるが、悪影響を及ぼす不純物としては鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、錫(Sn)があるが、これらは合金の製造過程で止むなく混入したものと、ダイカスト製造工程の管理の悪さから混入する場合もある。不純物が規格以上に混入したり化学成分比のバランスがくずれると、ダイカストの鋳造性が低下したり、製品になってからの経年変化で腐食が発生し、品質クレームに発展する場合もある。 業界から、これらのクレームを根絶するために、昭和36年より社団法人日本ダイカスト協会は亜鉛合金の化学成分の監視を開始した。これが「亜鉛合金ダイカストの品質証明制度」である。そのしくみを以下に記す。

1. 亜鉛合金材料の調達

国産品では、品質保証つきのJISマークのある合金インゴットを調達する。輸入品では、欧米各国のJIS規格に相応する工業規格品を求める。上記以外では合金メーカーによる成分分析データつきで品質保証させるとよいが、なかなか難しい点もある。

2. ダイカスト製造

ダイカスト工場においては合金を溶解して鋳造する段階で、溶解温度のバラつき及び再生材(スクラップ等の返り材)の配合比等により有効成分が減少する。また溶解時での微量の異物混入でも合金は汚染される。整理整頓の行き届いた、ある水準以上の管理レベルの工場で生産されることが必要である。

3. 亜鉛合金の化学成分検査

(社)日本ダイカスト協会(JDCA)がもつ化学成分分析試験機により、JDCAに加入しているダイカストメーカーは毎月成分チェックを受ける。その方法はその工場でその月に出荷する標準的な製品より試料を切り取って、月一回JDCAに提出する。

4. 試験検査結果の公表

分析に合格した工場名が毎月業界新聞紙上に公表される。
左は合格マークで、メーカーは出荷梱包容器に専用ステッカーをはったり、金型にこれを彫刻して1ヶ毎の製品にマーキングすることができる。