ダイカストの製品形状

ダイカストはその製法上、2つ以上の合わさった金型に溶けた金属を射出鋳造するために、次の如く、若干の条件づけがある。

1.寸法制度

寸法精度のよい順はA>B>C
A.ダイカスト後で機械加工する寸法。機械の性能と治工具及び作業条件で1/10、1/100代(mm)の寸法精度がでる。
B.溶湯の凝固縮み代と鋳造条件によって、寸法精度は変化する。ダイカスト技術の進歩で、小寸法部なら1/100台のレベルも可能。
C.この寸法部は左右2つの型にまたがっているため、同じばらつき要因に加えて、型の締めつけ方向のばらつきが加算される。

2.パーティングライン

ダイカストは2つ以上の金型を合わせて合金を鋳込んで製品を成形するため、型の合わせ面即ちパーティングラインができる。ここには合金流入のための湯口(ゲート)もつく。パーティング跡、ゲート跡は容易に跡かたなく後加工で仕上げることができる。

3.抜き勾配

ダイカストの型に合金が鋳込まれて、

可動型が開くとき、スムーズに製品が固定型から離れるようにA部の側壁には傾斜すなわち勾配が必要。

可動型に縮んで、くっついている製品をスムーズに型から離すためにB部の側壁にも抜き勾配が必要。

抜き勾配は壁の高さ(h)に応じて角度で設定される。 角度は1°30′、3°、6°、12°、30°というように標準設定されている。
また、内壁(B)は外壁(A)の2倍の勾配とする。

4.押出しピン跡

押出しピンはできるだけ製品部には設けないが、止むを得ずつけるときは、4図の如し、(1)ではピン跡は必ず若干の凸凹になる。表面が押出しピンによってふくらむ恐れのあるときはパッド(2)あるいは補強リブをつけるとよい。可動型の勾配が少ないと、押出し時無理がかかり、押出しピン跡の周囲がふくらむことがある。

5.補強リブ

鋳造時に製品が固定型から離れるとき、及び可動型から押出すときにかなりの抵抗が発生するため、製品が変形したり、かじったりして品質を損う場合が多い。それらの防止の一つの対策として、また製品の機械的強度を増すために、補強リブを設置する。
(1)三角リブ (2)L型リブ (3)T型リブ(4)押出パッドまたはボスとリブ

6.アール(R)

1)隅のR  (2)角のR  (3)穴の底と入口
たった0.3RつけたことでRなしの場合のときより破壊荷重が倍程度になったデータもでている。〔1998JDCA,JLZRO実験〕型の穴は丸ピンでつくるが、そのピンが折れるのは80%穴の入口附近で、その原因の多くは、そこにRがないからである。スミにRがないと鋳造の内部歪みのため、クラックが入るときもある。凹んだスミのRが少ないと、めっき、塗装のつきまわりも悪く、変色、ふくれ、さびの原因になる。
そのほかのメリット:湯流れが改良される。金型寿命が延びる。ケガの危険防止。後加工の処理材(液体、粉体)のぬれ性向上等々。