はじめに
JIS H 9124 「溶融亜鉛めっき作業指針」 が平成11年9月20日付けで改正公示されました。
改正前は規格名称が 「溶融亜鉛めっき作業標準」でしたが、作業標準が国家規格として規定されるべきものではないという考えに基づき、「溶融亜鉛めっき作業指針」という名称に変更されました。規格内容も、溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)、溶融亜鉛めっき試験方法(JIS H 0401)が改正されたので、国際規格、関連規格との整合性を図るために改正されました。以下、主な改正点について解説します。
I.規格本文の主な改正点
- 「序文」がつき、国際規格との関連が記載されました。
- 「1.適用範囲」 において、備考として対応する国際規格が記載されました。
- 「2.引用規格」が規定され、それらの規格は、この規格の規定の1部を構成することが明示されました。
- 「3.素材」の規定の中で 「表1 めっきに適さない素材」 の表面状態に関する現象の内容が変更 されました。
また、「表2 予防措置」 の中で、「 C) 材厚に大きな差のある組み合わせ部材の溶接部がある構造物」が追加され、「材厚比が3対1を超える部材の組み合わせは避ける。」 と記載されました。 - 「4.前処理」の規定の中の 「4.1脱脂」 のアルカリ脱脂、有機溶剤脱脂の記載が廃止されました。
- 「6.めっき」 の規定の中で 「6.3めっき作業」 の (4) たれきり、(5) 冷却、(6) ドロス及び酸化物の記載が廃止されました。
- 「7.めっき不良品の処置」 の内容が変更され、「7.1 不めっき部の補修」、「7.2 補修方法」、「7.3 不めっき以外の不良品の処置」が新たに規定されました。
II.解説の主な改正点
- 「まえがき」に今回の規格の改正の趣旨等が記載されました。
- 「2.素材」の、「2.1素材の分類」の解説が廃止されました。
また、「素材の管理」 の中で、「 a) けい素(Si)の影響」の中で解説図2が追加され、解説図1と解説図2に対するコメントが記載されました。
さらに、「 b) りん(P)の影響」が新たに記載され、解説図3及び解説図4が掲載されました。 - 「3.5 予防措置を必要とする素材」の「3.5.1」では重ね合わせ溶接に栓溶接を含めた詳しい解説に改められました。
「3.5.3」 の溶接スラグに対する解説及び解説図7が改正されました。
また、「3.5.4」 に熱間圧延鋼材と鋳鉄をはじめ、異なる材質、化学成分、表面状態の組み合わせ
についての解説が改正されました。
「3.5.5 構造上の問題」で旧解説がわかりやすく編集し直され、さらにパイプなどの中空体の接続部、端部の開口穴、空気抜き穴などのサイズ等が具体的に記載されました。
「3.5.5.4」の解説図14の解説中の 「例」 が廃止されました。
「3.5.7」に、めねじ類の取り扱いについて詳細に解説を加え改正されました。 - 「7.めっき不良品の処置」に不めっき部の補修を行うことができる面積は国際規格に記載された規定によることが明示されました。
- 「III.主な改正の箇所と内容」は廃止されました。
- 「10.JISと国際規格の整合性」が新たに項立てされ、「解説付表 JISと対応する国際規格との対応表」 が記載されました。
以上