都市整備におけるキャブシステムの地中線電気設備
都市整備におけるキャブシステムの地中線電気設備

土壌中における溶融亜鉛めっきの耐食性に影響を与える因子は,水分の量,pH,塩類の種類と量,電気抵抗率,酸化還元電位及び通気性等であります。
これらが土質によって異なりますので,亜鉛めっきの腐食速度に差を生じます。

一般に水分が多く,pHが高低いずれかに傾き,塩分が多く,電気抵抗が低く,酸化還元電位が低いほど腐食速度は大きくなる傾向を示します。
また,迷走電流も悪い影響を示します。

肥料として硫酸アンモニウム,過燐酸石灰などの化学肥料を供給すると一時的に塩類が多くなります。
pHは土質によりpH4~9ぐらいにわたりますが,雨が多くアルカリが流れ易い日本では,一般に弱酸性であります。  このような土壌中の腐食挙動は多くの因子に影響されますが,土性による腐食速度の差について,日本及び外国の調査結果を一例として示します。
国際的土性分類法では,土性の区分として下記の様な粒径を用いています。

●粒径の区分(Particle size)
>2mm礎(gravel),2mm~0.2mm粗砂(coarse sand),0.2mm~0.02mm細砂(fine sand),0.02mm~0.002mmシルト(silt),<0.002mm粘度(clay)

又,標準的な土性の区分を表1に示します。

表1 土性の区分
土性 略号 粘土% シルト% 砂%
重埴土 HC 45-100 0-55 0-55
砂質埴土 SC 25-45 0-20 55-75
軽埴土 LiC 0-45 10-55
シルト質埴土 SiL 45-75 0-30
砂質埴壌土 SCL 15-25 0-20 5-85
埴壌土 CL 20-45 3-65
シルト質埴壌土 SiCL 15-25 45-85 0-40
壌質砂土 LS 0-15 0-15 85-95
砂壌土 SL 0-35 65-85
壌土 L 20-45 40-65
シルト質埴土 SiL 45-100 0-55
砂土 S 0-5 0-15 85-100

わが国においては(社)日本溶融亜鉛鍍金協会で,5カ年間,17カ所で亜鉛めっき試験片による埋設試験を行いました。  試験片の寸法は100×200×3.2mmであり,水平埋設と垂直埋設の2通りで行いました。その結果のまとめを表2に示します。

5カ年の調査結果より,今後も等速で腐食していくとし,亜鉛付着量600g/m2でその90%が失われた時点をめっき皮膜の寿命として耐用年数を計算すれば,最も短い場合で16.4年,長い場合で33年となり,通常24~25年耐用が期待できます。また,外国の例として,米国における土質による高純度亜鉛の腐食量を表3に,又,土壌の電気抵抗と腐食の関係を表4に示します。

水分や塩分が多く,腐食性土壌に埋設される場合や長期耐用を期待する場合には,亜鉛めっき上にタールエポキシ樹脂等の重防食を行うか,防食テープ被覆する等の方法が用いられています。

表2 日本における土壌中の腐食速度(g/m2/年)
土性の区分 腐食速度(g/m2/年)
水平埋設 垂直埋設 平 均
HC 28.0 25.4 26.7
LiC 16.1 16.5 16.3
SCL 28.9 37.0 33.0
CL 17.3 16.1 16.7
SiCL 21.7 22.2 22.0
LS 24.5 25.3 24.9
L 17.7 26.6 22.2
SL 24.4 25.0 24.7
表3 米国の各種土壌中の高純度亜鉛の腐食(12.7年埋設試験による腐食速度)
土壌の種類 g/m2/年
無機質酸化性酸性土壌 粘度ローム 52
ローム 29
粘土 39
無機質酸化性アルカリ性土壌 沈泥ローム 43
砂利質ローム 130
無機質還元性酸性土壌 粘土 46
無機質還元性アルカリ性土壌 粘土 46
粘土 210
有機質還元性酸性土壌 堆肥 110
沼池 96
堆肥 180

注)無機質:草木に覆われた場所が50%未満のところ 酸化性:一般に農用地のように排水性がよく明色の土壌 還元性:地表のすぐ下が湿った土地で暗色の土壌

表4 土壌の抵抗率と腐食程度
抵抗率〔Ω・cm〕 腐食の程度
0~900 非常に厳しい
901~2,300 激しい
2,301~5,000 中位
5,001~10,000 緩慢
10,001以上 非常に緩慢

F.O.Waters:Corrosion,No.8,407(1952)による。