こどもやコレクターの心を捕らえてはなさないミニカーの魅力

◆ミニカー◆超合金【1998/1発行】

時代の流れに敏感にその姿を次々と変えていくミニカー。そんなミニカーの魅力は、こどもには持ちやすく、コレクターにとっては心地よい手応えと価値ある質感を生み出す亜鉛ダイカストの重量感、また亜鉛ダイカスト製の滑らかな製品表面に施すことで美しい車体を実現する、クリアな塗装にあるようだ。ミニカーはいつの時代にもこどもの玩具として親しまれ、今やコレクターたちのあいだでは、オークションにかかるほどのアンティークものまで存在している。

ミニカーの奥深い魅力は、その素材である亜鉛ダイカストが担っていると言っても、決して過言ではないだろう。

 

重量感が質感を呼び、色ノリの良さが人の眼を楽しませる

‘74年頃発売され、こども達の人気を呼んだ“超合金”シリーズの玩具は、アニメキャラクターのマジンガーZなどをモデルに亜鉛ダイカストで製作された。亜鉛ダイカストのずっしりとした重厚感が、こども達のあいだで「宝物」的な価値観を生み、当時のこども用玩具としてはそこそこ高価なものであったにも関わらず、お子遣いやお年玉を貯めて懸命に手に入れたこども達も多かったようだ。現在20代後半から30代前半くらいまでの読者には、自身のこども時代を彷彿とさせる懐かしい一品に違いない。これらの玩具の中には、今やレトロなキャラクター玩具コレクターたちのあいだで、プレミア商品となってふたたび注目を浴びているものもある。

亜鉛ダイカスト製の玩具としてはこのほか、やはりミニカーなどが代表的だろう。亜鉛ダイカストならではの滑らかな表面仕上がりには、色ノリおよび色の馴染みが非常に良く、独特の味わい深い質感を持つミニカーを作ることができるのだ。ミニカーを塗装する際の焼き付け塗装は、ひとつには安全基準の観点から塗料の色落ちを調べる塗膜試験をクリアするために適用される。亜鉛ダイカスト製品なら焼き付け塗装の際の高温による変形や、塗装後の乾燥処理でのひび割れの心配が少ない。この点、素材そのものに塗料を混ぜ込み、粘土のようにこねながら色を作っていく樹脂製品の場合、焼き付け塗装のような微妙な色合いを出すのはかなり難しく、メタリック色を作り出す鱗粉なども油ながれを起こして色にスジが出やすくなる。また樹脂は耐熱性が低いため、製品が変形してしまう恐れがあり、塗装後に行う乾燥処理にも不向きだ。

ミニカーを手にのせた時の心地よい重量感や質感を生み出すと同時に、精密にできあがった作動部分のメカ感覚が男心を引きつけている。

 

寸法精度と薄肉加工で、こまかな細工も自由自在

亜鉛ダイカストはさまざまな条件下において比較的制約の少ない扱いやすい製品素材として知られ、大型製品から小型製品までその豊かな造形力を自由に発揮している。この亜鉛ダイカストの性質は、滑らかなものから模様を持つものまでさまざまな製品表面を作ることも可能で、その仕上がりは非常に美しく優れている。

機械的性質も他のダイカストに比べて非常に優れている点もある。その鋼性も高いので精密内装部品にも色々と使われている。

亜鉛ダイカストのメリットを最大限に生かしているのが、ミニカーである。本物そっくりにスケールダウンしても細部の変形及び曲がりが少なく、各パーツを精密に組合せることができる優れた寸法精度を持っているのである。

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ほとんどが亜鉛ダイカストでできている